Profile

プロフィール
広川雄一(仮名)、28歳。石川県出身。私立大学経済学部卒(写真部)。 大学を卒業後、ファーストフードチェーン店に就職。入社から6年、先輩社員の退職がきっかけで、行政書士の資格を目指すようになる

(c)2009 行政書士 合格体験記

(6)忙しい社会人には、やっぱりメディア教材

僕が選んだ通信教育はフォーサイトという会社だ。通信教育には資格の予備校が提供している講座もあった。実は新幹線のなかで一番迷っていたのはそのことだった。
『メディアは、予備校の生の授業を収録した教材がいいか、それとも通信教育専門の会社のメディアがいいか…』。そこのところの判断がつかなかった。
『生の授業の収録なら、受講生も映っているだろうからやる気が出るかも』と、勝手に想像していたりした。
しかし冷静に考えてみると、生の授業の映像にはムダもあるかもしれないと思ったりもした。
結論として、僕はスタジオで収録されたメディア教材を選ぶことにした。
東京に戻ったその晩、僕はインターネットで、通信教育専門の会社を数社比較した。
そしてフォーサイトに落ちついた。
理由はけっこう単純で、5万円ほどの出費で教材がひと通り揃うからだった。

iPodで、テキストの講義を聞く習慣がついて10日ほどが過ぎた。そのころ楽しみにしていた郵便物が届いた。11月の行政書士試験の結果の通知だ。
開封してみた。結果は65点だった。300満点中の65点だ。予想以上に正解できた感じもする。それでもまだ合格には最低115点足りない。
行政書士の合格ラインは、毎年大体180点前後だ。6割以上を正解できないと、合格はできない。
『だけど3か月やっただけで60点取れたじゃないか。それに次の試験までにはまだ10か月近くもある』。その頃にはもう、学習の習慣もできていた。僕にはやれるはずだ。

『試験対策の勉強は、過去問を中心に進めるべき』とよく言われている。どんな国家試験でもそうらしいが、過去に出題された問題の一部を作り変え、出題され問題もかなりあるらしいからだ。
だけど僕は、過去問だけ頼りに試験対策をするは不安だった。行政書士の試験では、憲法や行政法民法など、法律の条例をたくさん問われる。法律知識は、基礎をしっかり固めておかないと応用が利かないと思っていたからだ。

それで僕は、基本の知識を固めるのはメディア(特にCD)、自宅では過去問中心の、同時進行で学習を進めた。それにしてもメディア教材の威力は想像していた以上だった。
最初は、『電車の中でも聞けて助かる』くらいにしか考えていなかったけれど、聞きながら勉強するのは、本を読むのとちがって、疲れていても集中しやすいのだ。
それに覚えたことを思い出しやすい。お店の厨房で仕事をしていても、CDの講師の声や解説を思い出すことができた。たとえばサザンの10年前の曲でも、印象に残っているものはすぐに歌詞を思い出すことができる。それと同じだと思った。
僕の仕事がサービス業だからかもしれないが、仕事中でも勉強できることを発見したのは、僕にとって嬉しい誤算だった。今朝電車の中で聴いていたことを思い出す努力をするだけで、十分勉強ができる。メディア教材を使った学習の、収穫は大きかった。

そうこうしているうちに、その年も梅雨の季節になっていた。その頃には過去問題集も3回繰り返していたし、CDはもう数えきれないくらい繰り返し聴いていた。
フォーサイトの基礎講座のCDは、民法、商法、行政法など全部で6枚ある。どれも1時間程度で聴ける内容だから、たとえば倍速で聴けば、それこそ何回転でもできる。半年くらい本気で聴いていると、相当の実力がついてくるのはまちがいない。
だが行政書士試験には、一般常識や白書からの出題など、誰でも手を焼いてしまう問題もある。正直、僕もそこまでは手が回っていなかった。それでも過去問を解いてみると正解率はいつも55%くらいにはなっていた。
『あと5%だ。もう少し詰めれば必ず合格できる』。僕は夏バテや中だるみのことをちょっとだけ心配しながら、先へ進んだ。


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